うつ病は、日常生活に支障が出るほどの強い気分の落ち込みや倦怠感が続く精神疾患です。
患者数は世界的に増加傾向にあり、日本でも過去20年で倍増し、今では100万人を超えています。
こうした問題をなるべく早期に解決するには、普段の生活の中で上手く気分転換をして落ち込まないようにすることが大切です。
東京都市大学の研究チームは、そんな日常の有効な手段として、毎日お風呂に入ることでうつ病の発症リスクが低下する可能性を発見しました。
入浴には数多くの健康メリットがありますが、うつ病の予防にも効果があるのかもしれません。
研究の詳細は、2023年7月24日付で学術誌『The Journal of The Japanese Society of Balneology, Climatology and Physical Medicine』に掲載されています。
目次
- 入浴には多くの健康メリットがある
入浴には多くの健康メリットがある
日本では古くから温泉文化が定着しており、湯船に浸かることは多くの国民にとってごく自然な生活習慣です。
また過去の研究で、入浴には様々な健康メリットがあることが分かっています。
一例を挙げると、
・全身の血流が改善し、新陳代謝が活発になって、体内に溜まっている老廃物が排出される
・筋肉が柔軟になり、体の疲れや痛み、肩こりなどが解消される
・お湯の温熱効果により睡眠の質が高まる
・自律神経が整えられ、心身ともにリラックスする
などです。

その一方で、研究者らは「入浴の習慣が長期的なうつ病の発症リスクに関連するかどうか」に関心を持っていました。
そこで今回の研究では、年齢的にうつ病を発症しやすい高齢者を対象として調査を行うことに。
高齢者のうつ病は要介護状態に陥るきっかけともなるため、その予防は喫緊の課題です。