私の場合、社会人経験すらないまま開業してしまったので、行政書士の実務だけでなく社会常識も知らないことがあったので、余計に自己嫌悪に陥りました。

たとえば、笑われるかもしれませんが宅配便の着払いと元払いの違いさえ知らなかったのです。しかし、重要なのは無知である自分を認めることです。行政書士で開業し、成功することを決意したのであれば、どのようなことでも仕事を受け、一つひとつ覚えていけばよいのです。

特に行政書士の仕事は、民事法務の仕事を除けば「答えがある」仕事です。建設業許可でも宅建業許可でも、役所に手引きもあれば、担当者に相談することができます。音楽や絵などの芸術の世界よりはるかに難易度の低い世界です。何も恐れることはないのです。

未経験でも、受けられるような体制をつくっておこう

とはいえ、なかにはイレギュラーな案件や難易度の高い業務もあります。そういった業務は報酬も比較的高く取れますので、こういった案件を受けることは余計にプレッシャーがかかります。そこで、最悪の場合に備えて準備だけはしておく必要があります。

準備とは、仕事をお願いできる同業者を確保しておくことです。特に行政書士は業務範囲が多岐にわたりますので、ひとりですべての業務を行うことは決して易しいことではありません。ですから、各分野に仕事をお願いできる人を探しておくのがよいでしょう。

行政書士であれば、法人設立系、介護系、外国人関連、医療系、民事系、運輸系、建設・産廃・宅建業許可系などの分野に知り合いをつくっておくべきです。

同様に他の資格の場合も考えておきましょう。社会保険労務士の場合は、給与計算などの事務系、就業規則、助成金、労働トラブル、人事コンサルティング系など。税理士の場合は、法人の規模、業種、報酬額が違う事務所などとつながりをつくっておくべきです。

このような体制をつくっておくことで、最悪自分にできそうにないということがわかったとしても、「適任者をご紹介します」という対応が可能になります。このようなリスクヘッジをしておくと自然と自信を持って仕事もできるものです。ぜひこういった体制をつくってください。

戦略的に仕事を受けないことは、将来的に必要になってくる