「穴あき履き」は、ソックスのふくらはぎ部分に切れ目を入れて穴を開ける挑発的なスタイルだ。MFジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)は、ふくらはぎ部分に水平に3本ほど切れ目を入れるのに対して、DFカイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)は水玉模様のように小さい穴を多く開ける。

筋肉の締め付けを緩めて血流を良くして痙攣を抑止することを意図している。ソックスは保護するためのものであり、意図的に穴を開けて肌を露出させるのは、ルール的には微妙だが、今のところ調査のメスは入っていない模様だ。ルールと機能性を両立させるために、今後の技術革新の余地があるだろう。


ラヒーム・スターリング 写真:Getty Images

二重履き派

ルイス・スアレス、ラヒーム・スターリングなど

外観からは目立たないが「二重履き」をする選手がいる。その数は年々、増えてきている。知られている例には、FWルイス・スアレス(インテル・マイアミ)やFWラヒーム・スターリング(アーセナル)などがいる。

公式ソックスは合成繊維の場合が多く、地肌には吸水性やフィット感を良くする靴下を履く場合がある。指部分が分離加工のものを好む選手がいる他、近年では滑りにくいグリップソックスも登場している。

なかには完全に二重にするのではなく、足首から上は公式ソックスで、下は高機能ソックスにしたセパレートソックスを着用する選手もいる。ホワイトテープを巻いてつなげていることが多い。ただし、足首のテーピングは、すね当てが下がってこないように止めている場合もあるため、必ずしもセパレートソックスというわけではない。二重履き派は、他の派閥と二股が可能だ。


ディエゴ・マラドーナのソックス 写真:Getty Images

番外編(マラドーナ)

現代のソックス派閥の枠には収まらない異端児も過去には登場した。アルゼンチン代表の伝説のプレーヤー、ディエゴ・マラドーナ(2020年死去)は、見えない後方から激しいタックルをあまりにも多く受けたため、すね当てを前だけではなく、ふくらはぎにも装着していたことがあった。結果として「ふくらはぎガード」なる商品が開発され、選手を保護するためのルール改正にも影響を与えた。