そのため今回のオンラインプログラムは、この機能を再び正常な状態に近づける“脳のリハビリ”のようなものだと考えられます。
ただし、この研究にも限界はあります。
対象人数が89名と少数だったことや、対象が英語圏で文化的要因が影響している可能性、さらに痛みの種類(腰痛、線維筋痛症など)にばらつきがあったことが挙げられます。
これらを踏まえ、研究チームは2026年に300人以上を対象とする試験を計画しており、さらなる検証が進められる予定です。
それでも今回の結果は、これまで「治らない」と思われていた慢性疼痛に対して、薬物に頼らない新たな治療戦略として期待されるものです。
これからは、薬や注射だけでなく、「脳を再教育」ことで痛みを克服する時代がやってくるのかもしれません。
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参考文献
Brain retraining therapy offers new hope for chronic pain sufferers
https://newatlas.com/chronic-pain/brain-retraining-therapy-chronic-pain-unsw/
NEWS BRIEFING and EXPERT REACTION: Retraining the brain for chronic pain
https://www.scimex.org/newsfeed/news-briefing-retraining-the-brain-for-chronic-pain
元論文
Online Dialectical Behavioral Therapy for Emotion Dysregulation in People With Chronic Pain
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2025.6908
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。