トマス・ピンチョンは、 『V.』(1963)や『重力の虹』(1973)といった長大かつ難解な作品で有名で、今年のノーベル文学賞の候補にもなっていました。
さて、話を絵画に戻しましょう。
絵の作者であるロマーノは、1905年にイタリア南部にあるブラチリアーノという町で生まれ、9歳のときにアメリカに渡り、その後は、絵の舞台でもあるマサチューセッツ州スプリングフィールドで芸術を学びながら育ちました。
彼は本作を、スプリングフィールドにある郵便局の壁画パネルとして完成させています。
ロマーノの作品一覧は、こちら(Umberto Romano)から閲覧できます。
しかし、気になるのは、このスマホらしきものを手に持つ先住民の男性です。

1636年にスマホなんてありませんし、もっと言えば、ロマーノが本作を描いた1937年にも携帯は存在しません。
それでも、手の中の物体はスマホにしか見えませんし、持ち方も現代人のそれとそっくりです。
親指で器用に画面をスクロールしている姿に見えないでしょうか?
この絵画は、少し前にRedditで共有され話題となりましたが、中には想像力豊かな人がいて、こんな説を提案しています。
それは、両腕を後ろ手に縛られている男性が、実はタイムトラベラーで、彼から取り上げたスマホを先住民の男性がいじっている最中だというものです。
(確かに、一人だけ肌の色も薄いですし、ズボンもどことなく現代風ではありますが… )
無論、これは冗談の一つであり、専門家による真面目な説明では「絵が描かれた当時に、よく取引に使われていた手鏡か、手斧の刃の一部だろう」と推測されています。