死の淵から生還したという男性が、その凄まじい体験を語った。神学を学び、かつて薬物依存に苦しんだ過去を持つスティーブ・カン氏は、医師たちが懸命に命を救おうとしている間、実に8時間もの間、「地獄」としか言いようのない領域にいたと主張しているのだ。
彼は警告する。「あそこは、絶対に行きたいと思うような場所じゃない。正直、金正日やヒトラーですら、あそこに行ってほしくないと思うほどだ。一番憎い敵にだって、あんな場所へ行ってほしくない」と。この言葉からも彼の臨死体験がいかに過酷なものであったかがうかがえる。
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薬物依存の果てに見た、光なき絶望の世界
スティーブ氏がこのような臨死体験をするに至った背景には、深刻な薬物依存があった。メタンフェタミンやエクスタシーといった薬物、さらには彼自身が「死のどんぶり(death bowl)」と呼ぶ致死的な混合薬物にまで手を出していたという。精神的に追い詰められたある時、彼は「邪悪な存在(evil spirit)」に唆されたと感じ、自らを傷つける行為に及んでしまった。
医療チームが彼の負った深刻なダメージの治療にあたる中、スティーブ氏の意識は恐ろしく不気味な次元へと引きずり込まれた。「心地よい場所では全くなかった。光は一切なく、植物も存在しない。草一本すら見た記憶がない。ただ、岩だらけの地面が広がっていた」と、彼はその光景を語る。