ただ、私はそこにはロシアの悪知恵がある気がしています。原油価格が今の水準、つまり60ドル程度だとアメリカのシェールオイルはコスト見合いで新規開拓できないのです。シェールオイルの油田の寿命は7-8年。今稼働しているのはコロナ前のモノが主流でそろそろ寿命が来るはずです。ところが新規のシェール油田に投資マネーが向かなければどうなるか、自明ですね。アメリカは最大の産油国から輸入国に転落するのです。

私はパクスアメリカーナが34年も続いている今がおかしいのだと考えています。地球儀ベースのバランスが必要にもかかわらず、ある意味いびつなアメリカ一国主義が延々と続いていたのだ、と考えたほうがスッキリするのです。

中国とロシアが様々な国を仲間に引き込もうとしています。今の状況ならまだ増やせるかもしれません。ただ、多くの国家の基盤である国民と企業はどちらかの一択を望まず、「いいところ取り」を目指すところも増えてくるでしょう。既にインドを含むグローバルサウスはその傾向が見て取れます。

どこに向かう世界の覇権競争、答えは未知です。少なくとも何十年という単位で世界の国々がポジション争いをするだろう、それが私が予想できる唯一の答えです。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年5月7日の記事より転載させていただきました。