トランプ氏が巻き起こす様々な旋風は心地よいと思う人にはフォローの風となりますが、大いなる反感も買っています。特にこれはアメリカ国民の話というよりアメリカと関係がある諸外国のレベルで見るとより見えてくるものがあります。
パクスアメリカーナが91年から既に34年経った今、中国が力をつけ、ロシアが戦争を吹っ掛け、グローバルサウスが台頭しています。欧州は今一つ団結力にかけ、各国内部でも保守派と民主派・改革派に分断しています。
もしもトランプ大統領の最大の短所は何か、と聞かれたら私は権威主義であると躊躇なく申し上げます。署名した大統領令は3か月で130本。大統領令とはとりもなおさず、大統領の権限に基づくオーダーであり、その多くは議会の判断を要しない外交関連が主体となります。大統領令が多いのは民主的議論をせずに強権的にルール変更することであり、これはロシアや中国が今までやって来たことと差して変わらないとも言えます(そしてアメリカ議会ではトランプ2.0になってから成立した法案数が非常に少ないのも特徴です。)
もちろん、極度に進化した民主化は民のエゴイスティックで我儘な声も出てくるし、少数の声をどれだけ重視するか、それにより大多数が我慢をするという事態すら招くこともあり、その罠にはまったのがバイデン政権でありました。つまり、私にはアメリカは一枚岩になれず、もがいているように見えるのです。そして政治は時としてショーであり、パフォーマンス化しているとも言えます。
これに対して中国やロシアは強い権威主義の下、着実に仲間を増やしつつあることは事実です。これが将来的にアメリカの一強体制に大きな試練になりかねないとみています。例えばOPEC+が原油の増産体制にシフトしています。表向きの理由はOPEC+合意の産油量を無視するイランなどに対抗するためとされ、最終的には減産の枠組みすら取り払う可能性が出てきています。