しかしロングリッチ氏に言わせれば、恐竜は、草食種も肉食種も総じて、脳は小さいまま体だけ巨大化させる進化を繰り返しているに過ぎなかったのです。
対照的に哺乳類は、恐竜ほど巨大な体を発達させはしませんでしたが、繰り返し大きな脳を進化させました。
脳の大きさだけが知性のすべてではありませんが、体サイズ比における脳の大きさは、高い知性を誇る動物の重要な要素です。
その代表的な例が、イルカやゾウ、そしてヒトを含む霊長類でしょう。

よってロングリッチ氏は「もし恐竜が生き残ったとしても、脳が少し大きくなったかもしれないが、天才的な進化を遂げることはなかっただろう」と述べています。
おそらく、恐竜たちが絶滅していなければ、その後も変わらず巨体に物を言わせて、生態系のトップに君臨し続けたはずです。
恐竜たちが闊歩する中にあっては、哺乳類たちも肩身が狭く、(実際に起きた)種の多様化は起きなかった可能性があります。
歴史にイフ(if)はありませんが、恐竜が生き残っていれば、哺乳類の繁栄も、霊長類の躍進も、ひいてはホモ・サピエンスの出現もあり得なかったかもしれません。
奇妙な偶然と幸運の重なりの末に、今日の私たちは存在していられるのです。
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参考文献
What if the dinosaurs hadn’t gone extinct? Why our world might look very different
https://theconversation.com/what-if-the-dinosaurs-hadnt-gone-extinct-why-our-world-might-look-very-different-191599
What If Non-Avian Dinosaurs Hadn’t Gone Extinct?
https://www.sci.news/paleontology/dinosauroids-11427.html