例えば布に付いたこれらのシミを定量評価したところ、新洗剤5%ではすべて約95%以上除去できたのに対し、市販洗剤1%では90%前後の除去率にとどまりました(インク汚れで顕著)。
洗浄後の布地を電子顕微鏡で観察すると、新洗剤5%で洗った場合でも布の繊維表面に洗剤粒子の残留は確認されず、繊維構造へのダメージも見られませんでした。
これはすすぎ時に複合粒子が布から完全に洗い流されていることを意味し、新洗剤が布地を傷めにくいことを示唆します。
台所用洗剤としての効果も調べるため、同様に陶器、ステンレス鋼、ガラス、プラスチック製の皿に付着させた頑固なチリ油汚れでテストが行われました。
こちらも新洗剤1%と市販食器用洗剤1%では汚れ落ちの程度はほぼ同等でしたが、新洗剤5%では明らかに洗浄効果が向上しました。
特にステンレス製の皿では、新洗剤5%液で油汚れの92%が除去され、市販洗剤1%液の87%を上回りました。
複合粒子による油汚れの物理的な除去効果が、通常の合成界面活性剤を用いた洗剤と同等以上に発揮されたことになります。
さらに布地の場合と同様、複合粒子は洗浄後に皿表面へ残らず洗い流され、洗浄後の皿に目立つ跡は残りませんでした。
実験では布の「白さ」の保持効果、つまり汚れの再付着防止効果についても評価されています。
市販洗剤で洗濯した場合、わずかに布がくすんで白さが損なわれる現象が見られましたが、新洗剤5%で洗った場合は白度の低下が市販品より小さく抑えられました。
これはゼイン/セルロースナノ繊維粒子が汚れをしっかり捕捉し再付着させないためで、汚れ移りによる布のグレー化(黄ばみ)が起きにくいことを示しています。
以上の結果から、十分な濃度で用いることで本開発の天然系洗剤が布地や食器に対して総合的に市販合成洗剤と同等かそれ以上の洗浄性能を示すことが確認されました。
“油を鎧う粒子”が示した脱・化学洗剤の道筋
