過去にはストーカー被害が痴情のもつれと軽視され警察に相談しても相手にされないケースがありました。
しかし、その結果対応が遅れて事件が深刻化した痛ましい事例が相次いだ反省から、現在では警察も真剣に対応する体制になっています。
相談件数は増加傾向にあり、警察も「被害者の意思を尊重し丁寧に対応する」方針を強化しています。
一度対応が不十分だった場合も、時間をおいて再度相談すれば事態が動く可能性は十分あります。
決して萎縮せず、あなたの安全のために粘り強く訴えてください。
危機が高い・差し迫っている場合
加害者から「殺してやる」など明確な脅迫があった、繰り返しの暴力ですでにケガをしている、尾行や待ち伏せが連日続いて恐怖で外出もできない、といった緊急性の高い状況では、ためらわず110番通報をしてください。
「つきまとわれて怖い」「今まさに暴力を受けている」などと具体的に状況を伝え、助けを求めます。
ストーカーやDVの被害であること、加害者が近くにいる・凶器を持っている可能性がある等も伝えると、警察も優先度を上げて対応します。
以前に警察を呼んだのに十分な対応をしてもらえなかった場合でも、諦めずに再度110番してください。
その際「前にも通報したが、さらに状況が悪化している」「○月○日に相談済みだが加害者の行為がエスカレートしている」と伝えることで、警察も重大性を認識しやすくなります。
「命の危険を感じている」「次は殺されるかもしれない」と率直に言葉に出しましょう。
通報後はできるだけ安全な場所(施錠できる部屋や人目のある場所)に避難し、警察官が到着するまで身を守りましょう。
※参考文献
- Stalking Victimization in the United States — Revised (2009, BJS)
- Reporting Harassment and Stalking to the Police (2017, Korkodeilou)
- Stalking and Intimate Partner Femicide (1999)
- Risk Factors for Femicide in Abusive Relationships (2003)
- The Police Response to Stalking (2023, HMICFRS/IOPC/College of Policing)
- The Relationship Between Stalking, Homicide and Coercive Control (2023)
- The Danish Police’s Response to Stalking (2024)
- Stalking and Serious Harm or Homicide: Rapid Evidence Assessment (2024)
- Family Violence Death Review Committee Stalking Findings 2020-2024 (NZHQSC)
- ストーカー行為等の被害者支援実態調査 (2014, 内閣府)
- ストーカー対応の現状と課題 (2018, 日本法と心理学会誌)
- ストーカー加害者に対する精神医学的・心理学的アプローチ (2022, 警察庁委託研究)
- 令和4年におけるストーカー事案等の対応状況 (2023, 警察庁)
- 桶川ストーカー殺人事件に関する検証報告書 (2000, 警察庁)
- 神奈川県川崎市ストーカー事案 報道発表資料 (2025, 神奈川県警)