さらに精神的疲労や認知機能の低下の作用は、調査終了後に4時間半の休息を取った後でも完全には回復していませんでした。

「この結果は、勤務中に短い休憩を取り入れることが、疲労の予防や認知機能の改善には繋がらないことを示唆している」とブラザイティス氏は指摘します。

定期的な小休憩は精神的な疲労を生んでいた
定期的な小休憩は精神的な疲労を生んでいた / Credit: canva

本研究には参加していない英キール大学(Keele University)のコリン・リグビー(Colin Rigby)氏は、この結果について次のような解釈を寄せました。

「定期的な小休憩を挟み込むために1日のノルマを分解することは、それ自体が仕事に関連する認知タスクとなり、結果として心理的なプレッシャーを増幅させると考えられます」

たとえば、あらかじめ何分ごとに1回の小休憩を入れると決めていると、リグビー氏いわく「タスクの進行具合ではなく、時計に従って仕事をすることになる」という。

そうすると、せっかく持続していた集中力が中断され、「休憩から戻ったときに、どこまで進めていたか、また休憩前にどんな思考プロセスを辿っていたかを思い出す必要がある」ため、返って認知タスクに負担がかかったり、仕事に余計な時間を費やしてしまうといいます。

その結果として、無駄な心労が増えたり集中力や注意力が落ちて、作業効率が悪くなるのです。

お昼休みの時間は決まっている会社も多いでしょうが、休憩時間を意識して作業するより、自身で一区切り付いたと休憩のタイミングを選ぶ方が、心理的には楽であり作業効率も高まる可能性があるかもしれません。

小まめに時間を決めて休憩は取らない方が良い、というのが今回の研究の結果でしたが、休憩自体は誰にでも必要となるものです。

では、どんな休憩の取り方が効果的に脳を休め集中力を回復させるのに有効なのでしょうか?

研究者が推める効果的な「休憩の取り方」とは?

短い時間で心身をリセットできる休憩法とは?
短い時間で心身をリセットできる休憩法とは? / Credit: canva