しかし、研究チームが特定した最も強い要因は「感情信号が隠されること」でした(質問項目では3つ目)。
回答者のほとんどは、ピエロ特有のメイクアップによって表情が読み取れなくなったことに、強い不安感や不気味さを抱くと答えていたのです。
つまり、ピエロの表情が読み取れないために「何を考えているのか」「次に何をしでかすのか」が分からず、人々は不安や不気味さを抱いてしまうものと思われます。
同じことは他のケースにも当てはまるのではないでしょうか?
たとえば、日本の伝統である歌舞伎の白塗りやマクドナルドのマスコットであるドナルドの顔、あるいは能面のような無表情のマスクや人形にも、恐怖を感じる人は多いはずです。
特にドナルドに関しては、企業のマスコットのため恐怖を煽る演出や利用はないにも関わらず、怖いと答える人が存在しています。
これらはどれも「感情の読み取れなさ」と関係しているようです。

確かに私たちの恐怖の感情は、未知なる存在に対して強く沸き起こるものです。
多くの生物は未知のものを警戒し、知識を集めることで対処して来ました。表情を隠すという行為は、こうした生物が感じる得体の知れないものへの警戒心を強化するのかもしれません。
今回の研究から、人々がピエロを恐れる理由について新たな知見を得ることができましたが、まだ多くの疑問が残されています。
研究者は「感情を隠すメイクアップが恐怖を引き起こすのであれば、たとえば、動物の顔をペイントした人にも同じように恐怖や不安感を感じるのだろうか」と考えています。
確かに単純に表情の読めない事が怖いのであれば、上記で取り上げたように仮面や白塗りなど様々なパターンが存在します。しかし、何故大きくピックアップされるものがピエロに限定されるのでしょうか?
ピエロのメイクに特有の何かが私たちの恐怖を煽っているのでしょうか?