ピエロを怖いと感じる「道化恐怖症(Coulrophobia)」は今や世界に広く認知されている心理現象です。
先行研究によると、この現象は多くの異なる文化圏の大人と子どもの両方に見られることが示されています。
一方で、集中的な研究が行われていないため、その実態はあまり理解されていません。
そこで英サウス・ウェールズ大学(USW)の心理学研究チームは2023年に、人々がピエロに恐怖を抱く理由を探り、その背景にある心理を詳しく調べることにしました。
一体、私たちはピエロのどこに恐怖や不気味さを感じているのでしょうか?
研究の詳細は2023年2月2日付で学術誌『Frontiers in Psychology』に掲載されています。
目次
- 半数以上の人が「道化恐怖症」を持っている?
- 最も大きな要因は「感情の読み取れなさ」か
半数以上の人が「道化恐怖症」を持っている?
研究チームはまず、一般人における「道化恐怖症」の割合とその重症度を評価するためのアンケートを新たに作成(Origin of Fear of Clowns Questionnaire; OFCQ)。
18歳から77歳の健康な男女987名に参加してもらい、アンケートに回答してもらいました。
その結果、半数以上の528名(53.5%)が程度の差はあれ「ピエロが怖い」と回答しており、そのうち5%は重度の「道化恐怖症」と評価されています。
興味深いことに「ピエロが極端に怖い」と答えたこの割合(5%)は、他の恐怖症と比較して高くなっています。
具体的には、動物(3.8%)、血液・注射・怪我(3.0%)、高所(2.8%)、洪水・天候(2.3%)、閉所(2.2%)、飛行(1.3%)となっています。

また男性よりも女性の方がピエロをより恐れていることが示されました。
この性差の理由は定かでありませんが、ヘビやクモなど他の恐怖症に関する研究結果ともこの傾向は重なります。