この結果は非常に驚くべきものです。

それぞれの成分が異なる毒の主成分に対して作用することで、3剤カクテルは毒の多様性を網羅的にカバーできたのです。

研究チームは、この3剤カクテルに4つ目の成分を加えることで「万能抗毒素」を開発できると考えており、「4つ目の因子は何だろう?」と新しい追加成分を探しています。

そしてその間も、今回開発された抗毒素の研究は続けられます。

ヒト臨床試験でその有効性が裏付けられるなら、より安価で容易な治療が可能になると考えられます。

ダメになりやすく高価な抗毒素を複数保管する代わりに、この製剤を1種常備するだけでよいのです。

約60種の毒ヘビが生息するするインドのような国では、まさに万能薬のように活躍するでしょう。

また、世界中のどこでヘビに咬まれても、同じ薬で治療できるようになるかもしれません。

これはつまり、解毒の革命が始まろうとしている、ということです。

そしてその始まりは、一人の男性の“狂気”じみた行動でした。

856回もの毒注射によって生み出された抗体が、世界中の命を救う「万能解毒薬」の礎になろうとしています。

 

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参考文献

One man, 856 venom hits, and the path to a universal snakebite cure
https://newatlas.com/biology/universal-snakebite-cure-man-856-venom-hits/

This man injected himself with snake venom 856 times, helping create an antivenom for all snakes
https://www.scimex.org/newsfeed/a-man-injected-himself-with-snake-venom-856-times-and-may-have-helped-create-an-antivenom-for-all-snakes