魚の求愛? 工場の騒音? 原因不明の正体探しは難航
これらのハム音の正体については様々な説が飛び交ってきた。サウサンプトン・ウォーターのケースでは、浚渫作業(港湾・河川・運河などの底面を浚って土砂などを取り去る土木工事)の音、製油所やその他の工場騒音、送電線、上空を旋回する航空機、そして「魚の求愛の鳴き声」といった説まで浮上した。特に、ミッドシップマンフィッシュという魚の出す低い音が原因ではないかという説が一部で報じられたが、当局はこの魚がイギリス近海に生息する種ではないこと、また他の在来魚がこれほど広範囲に騒音を引き起こす可能性は低いとして、この説には懐疑的だ。
結局のところ、どの地域においてもハム音の発生源を特定するのは極めて難しい。低周波音は遠くまで伝わる性質があり、発生源が特定地域に限定されない場合も多い。また、夜間に顕著になるとされるものの、日中の環境騒音に紛れて測定が困難なケースもある。多くの場合、住民の訴えにもかかわらず、調査しても決定的な原因不明のままとなっているのが実情だ。

(画像=Image by Tumisu from Pixabay,『TOCANA』より 引用)