しかも、「賠償額が13兆円」ということからも「幸せ無限大」と読めてしまう余地が大きい話でした。訴訟で争われた内容が「命」とは無関係な事柄だからです。
なお、「・」=ナカテンは並列の意味というのが文化庁の説明3でも見られますが、そのような意味であるということは学校教育では決して習わないし、全国民における一般的な知識と言えるか微妙なところでしょう。
仮にそうだとしても、川柳ならば5・7・5や7・7の配置になるはずなので…
「還らない 命・幸せ 無限大」
とする方法もあるにもかかわらず、わざわざ
「還らない命・幸せ無限大」と繋げているのは、元の投稿された句がそうだったからなのか?それとも編集したからなのでしょうか?
他にも、「高裁も 最高裁 もなかりせば」という句があり、「高裁も 最高裁も なかりせば」とするのが日本語の意味のまとまりとして自然と思われますが、こうした構成になっているのは元の句がそうだからなんでしょうか?
それとも、川柳の決まりなんでしょうか?川柳の決まりだとしても、読者は一般人なわけで、一般的な国語の読み方を標準として意味内容が評価されることになるため、不用意な意味を持たせるものになる場合は注意するのが当たり前でしょう。
このような意味で、朝日新聞の川柳に掲載された句には様々な問題があるということが、改めて明らかになりました。
1:東京地方裁判所 令和4年7月13日 判決 平成24年(ワ)第6274号 損害賠償請求事件、同第20524号、同第30356号、平成25年(ワ)第29835号 2:東電が被った損害に、事故関連死によって企業のレピュテーション低下が発生し、株価が下落した等の観点からは関係があるかもしれないが、当該判決では損害賠償額の算定に際してそのような認定はしていない。 3:新しい「公用文作成の要領」に向けて(報告)
編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年5月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。