「朝食後、昼食後、夜食前、寝る前に飲んでください」
毎日何種類もの薬を飲んでいる人にとって、飲み忘れは深刻な問題です。
高齢者だけでなく、忙しいビジネスパーソンや慢性疾患を抱える若年層でも、薬を決まった時間に服用するのは意外と難しいものです。
そんな課題を解決するかもしれない新技術が、アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)から発表されました。
研究チームは、1日に1回飲むだけで、複数の薬を異なる時間帯に自動的に放出する“タイマー付きの経口カプセル”を開発したのです。
研究の詳細は、2025年1月14日付で科学誌『Matter』に掲載されました。
目次
- 飲み忘れなし!「時間差で薬を放出する新カプセル」の開発
- 新カプセルが朝、昼、夜にそれぞれの薬を放出することに成功
飲み忘れなし!「時間差で薬を放出する新カプセル」の開発

薬を毎日きちんと飲むことは、簡単そうで、実はとても難しいことです。
特に複数の病気を抱える患者では、1日で10錠以上の薬を時間をずらして飲むことも珍しくありません。
加えて、薬の効果を最大限に引き出すためには、空腹時や食後などの条件を守る必要もあります。
忙しさ、うっかり、体調の変化、あるいは認知機能の低下など、服薬にはさまざまな“ミス”のリスクがつきものです。
そのため近年では、薬の数を減らしたり、飲みやすい剤形にする工夫が進んできました。
たとえば「配合薬(2種類以上の成分を1錠にしたもの)」や「徐放剤(ゆっくりと薬が溶けるように設計された薬)」などがその例です。
しかし新しく開発されたカプセルは、そうした工夫を一歩どころか数歩先に進めた設計になっています。
