布団や洗濯物を天日干しすると、暖かく心地いい香りが漂ってくるでしょう。

よく「お日様の匂い」などと表現されますが、世間ではこれが「直射日光で死んだダニの匂いだ」という噂がまことしやかに広まっています。

しかし本当に「お日様の匂い」の正体はダニの死骸なのでしょうか?

有難いことに、デンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)が2020年の研究で、その答えを見つけてくれています。

この研究は2020年2月25日付で科学雑誌『Environmental Chemistry』に掲載されたものです。

目次

  • 天日干しすると「香水の匂い成分」が発生
  • やっぱり「ダニの死骸」じゃない!

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天日干しすると「香水の匂い成分」が発生

研究主任で化学者のシルビア・プグリエーセ(Silvia Pugliese)氏は、幼少期に母親が天日干しした洗濯物の心地いい匂いが忘れられず、その正体を知りたいと考えて、この研究を始めたと話します。

実験ではまず、IKEAの綿製タオルを用意し、匂いに影響を与える微生物や塩分を含まない純水で3回すすぎました。

そして同大の建物を借りて「暗い室内」「ベランダの日陰」「ベランダの直射日光の下」の3カ所に干します。

実験時の様子(天日干ししたタオル)
実験時の様子(天日干ししたタオル) / Credit: University of Copenhagen – The secret of line-dried laundry’s fresh scent(2020)

こうして乾かしたタオルを袋に入れて15時間密封し、タオルから放出された化学物質を採取。

比較として、何も入っていない空の袋や洗濯していないタオル、それからタオルを干した場所の空気も同様の手順で集め、ガスクロマトグラフィー質量分析で匂い成分を分析しました。

プグリエーセ氏によると、主観的には明らかに天日干ししたタオルで最も強く「お日様の匂い」を感じたといいます。