スキャンダルと機密情報の闇
■ジェフリー・エプスタイン(富豪・性犯罪者、2019年没)

政財界や王室にも広がる人脈を持つ大富豪。未成年者への性的搾取と人身売買の罪で起訴され、裁判を待つ身だった。多くの有力者の秘密を知るとされた彼が、厳重警備下のマンハッタンの拘置所で首を吊って死亡。公式には自殺とされたが、監視カメラの不可解な故障、看守による記録の改ざん、自殺監視対象からの突然の解除など、あまりにも不自然な状況が重なり、「有力者たちの秘密を守るための暗殺だったのではないか」という陰謀論が世界中を駆け巡った。
■セス・リッチ(民主党全国委員会職員、2016年没)
2016年の大統領選のさなか、ワシントンD.C.で強盗未遂に遭い射殺されたとされる若き職員。しかし、彼の時計、財布、携帯電話などは現場に残されており、強盗説には疑問符が付く。やがて、彼こそが民主党内部のメールをウィキリークスにリークした人物であり、その口封じのために暗殺されたのではないか、という陰謀論が浮上。地方の犯罪としては異例なFBIの関与や、ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジがリッチを情報源として示唆したことも、疑惑を深めている。
■ジョン・P・ウィーラー3世(元国防総省高官、2010年没)

レーガン、ブッシュ両政権で顧問を務めたこともある元ペンタゴン高官。彼の遺体は、なぜかデラウェア州のゴミ埋め立て地で発見された。失踪前の数日間、彼は明らかに混乱した様子で徘徊し、「ブリーフケースを盗まれた」と助けを求めていたという。サイバー戦争や生物化学兵器対策など、国家安全保障の機密に深く関わっていた経歴から、彼の死は単なる事故や個人的なトラブルではなく、機密情報やスパイ活動絡みの暗殺ではないか、という見方が後を絶たない。
■デボラ・ジーン・パルフレイ(「D.C.マダム」、2008年没)
ワシントンD.C.で、政界の有力者らを顧客に持つ高級コールガール組織を運営していたとされる女性。「D.C.マダム」と呼ばれ、組織犯罪で有罪判決を受けた後、「顧客リストを暴露する」と公言。そのわずか数日後、フロリダの実家裏の物置で首を吊った状態で発見された。これも自殺とされたが、彼女は生前「絶対に自殺はしない」と繰り返し語っていた。有力者たちのスキャンダルを封じるための、政治的な暗殺だったのではないかという疑念は強い。