だがそれでも広く普及している理由は、コンセントの電気と違って、機器を持ち運びできるし、いちど入れればそこそこの寿命があるからだ。ペロブスカイト太陽電池についても、kWhあたりの単価を主な指標として評価する必要は全くない。強みを活かせればそれでよい。
もちろん、メガソーラーや建築物の屋根での本格的な発電を目指して、耐久性や発電効率の向上や、コストダウンのための研究開発をする意義はあるし、そこには国の支援もあってよいだろう。
だが「2040年までに2000万キロワットを目指す」という野心的な導入目標が大書されているがために、拙速に陥り、工場の建設補助金、発電パネルの導入補助金、発電した電力の買い上げまで、全てが巨額の政策補助漬けになり、その帰結として、毎年の国民負担が数兆円規模に膨らんでしまうことを、筆者は危惧する。これは、シリコン太陽光発電がかつて通った道でもある。
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『データが語る気候変動問題のホントとウソ』