まるでSF映画『ロボコップ』の世界が実現するかもしれない――。そんな未来予想図を、元潜入捜査官にして現在は英国有数のテクノロジー起業家であるフィル・クリアリー氏が語っている。彼によれば、今後30年、つまり2055年までには科学捜査技術が飛躍的に進歩し、AI(人工知能)を搭載したロボットがほぼ全ての犯罪を解決するようになるというのだ。そうなれば、犯罪者はもはや「廃業」に追い込まれるだろう、と彼は予測する。

人間を超えた精度? AI捜査官「フォレンジック・ボット」登場

 未来の警察活動を担うのは、AI搭載のロボット、いわば「フォレンジック・ボット」だ。クリアリー氏によれば、これらのボットは犯罪現場に投入され、「微細な精度」で証拠を収集する。

 現在の現場鑑識官は、時に疲労やプレッシャーから重要な手がかりを見逃してしまうこともある。しかし、レーザーのような正確さを持つフォレンジック・ボットには、そんな見落としはあり得ない。犯人が残した極めて微細な繊維の破片、わずかな血痕、指紋、DNAの痕跡などを、完璧に検出し分析するのだ。

 さらに、人間の鑑識官が現場検証に数時間から数日を要するのに対し、「青い制服のボット」たちはわずか数秒で完了させるという。殺人現場では、血痕の飛沫パターンをリアルタイムで分析し、被害者の体温測定などから正確な死亡推定時刻まで割り出すことも可能になる。近い将来、テレビドラマでお馴染みの、白い防護服を着た鑑識官や現場を囲む黄色いテープといった光景は、過去のものになるのかもしれない。