私たちは現在、太陽や月のサイズと、そこまでの距離を正しく知っています。

しかし、それはNASAとかが言っているから知っているだけであって、自分で調べたわけではありません。

では人類で一番最初に太陽の距離やサイズを知った人たちは、一体どのようにしてその事実を突き止めたのでしょうか?

紀元前の古代ギリシャの哲学者たちは、これを簡単な道具と肉眼、自らの頭脳だけで明らかにしました

今回はその驚きの方法について解説していきます。

目次

  • 地球の大きさを測定したエラトステネス
  • 月を測るのは月食と爪
  • 月を利用した太陽の測定

↓↓動画でも解説しています。

地球の大きさを測定したエラトステネス

古代の人たちは、地球が亀や象の背に乗った平坦な地面だと考えていた…わけではありません。

そんな考えの人もいたかもしれませんが、紀元前のギリシャ人はすでに地球が丸い球であることを理解していました

このことは月食でできる地球の影が丸いことや、水平線の向こうから船がやって来る時、まずマストの上部が見え、それから徐々に船体が見えてくるという事実から明らかでした

水平線の向こうからやってくる帆船の見え方。
水平線の向こうからやってくる帆船の見え方。 / Credit:ナゾロジー編集部,canva

この事実を聞いた子供たちを悩ませる「南半球の人はなぜ落ちないの?」という疑問も、ギリシャ人たちはクリアしていました。

彼らは「すべてのものは宇宙の中心に向かって引かれており、地球は宇宙の中心にある」と考えていたのです。

では地球が球だとして、それは一体どのくらいの大きさなのでしょう?

このことを最初に明らかにしたのが、当時の世界最高学府だったアレクサンドリア図書館の館長エラトステネスでした。

ベルナルド・ストロッツィ作。「アレクサンドリアで教授するエラトステネシス」(1635)
ベルナルド・ストロッツィ作。「アレクサンドリアで教授するエラトステネシス」(1635) / Credit:Wikimedia Commons

あるときエラトステネスは、エジプト南部シエネの街に「夏至の日の正午になると、底まで明るく太陽で照らされる井戸がある」という話しを耳にします。