たとえば、「建設業許可は500万円以上の工事について許可が必要になる」や、「NPO法人であれば、特定の17分野に関する活動をする団体であること」、「10名以上の人員が必要になること」などです。

お客様のなかには、NPO法人であれば、「じゃあ、17分野って何があるの? 今すぐ全部教えて」という人はほとんどいません。聞かれるとしても「たとえばどんな分野ですか?」くらいのものです。その際に「スポーツ振興とか、まちづくりとかの活動がありますね」と、いくつかのことが答えられれば十分です。

もちろん全部知っているに越したことはありませんが、具体的に調べるのは依頼が現実味を帯びてきてからで足ります。実際に、私はすぐに稼ぐ必要があったので、この程度の知識を元にさまざまな人に会って問い合わせをいただいてきました。

たとえばNPOの案件があれば、問い合わせには簡単に回答して、個別相談の当日までには一夜漬けでも完璧にして覚えておきます。事務所経営は業務知識の暗記が目的ではないので、前述の「プロ感」が出ていればよいのです。

もちろん、繰り返しになりますが、知識がなくてもよいというわけではありません。広く浅く覚えていって、徐々にひとつひとつの分野に詳しくなっていけばよいでしょう。あなたが社労士ならば、まずは労務全般の広く浅い知識を持ち、就業規則の相談を受けたらそのときに知識を増やしていく。そうすることによって労務全般の知識と就業規則についてやや強いというステータスに変わっていきます。このようにして徐々に完璧になっていけばよいのです。

士業として法律サービスを提供し、お客様に喜んでもらいたい、多くの士業がそう考えています。しかし、そのサービスを提供するにも、まずはお客様を見つけなければならないのです。ぜひこのあたりの優先順位を間違えることなく、日々の活動を選択してください。

横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士 1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。 会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚