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大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。

答えられない相談はあって当然

Q:相談に完璧に対応できるよう日々努力しています。この努力は間違っているでしょうか?

社会保険労務士で開業しています。社労士の仕事にはさまざまなものがありますが、労働トラブルの対応が得意なので、その分野を中心に裁判例なども含めて広範囲に何でも相談に答えられるよう、日々勉強しています。毎日勉強をしているので、少しずつ知識は増えてきたのですが、勉強の時間があるせいで、なかなか営業の時間が取れなくて困っています。この努力は間違っているでしょうか?

専門家として専門知識を身につけること自体は極めて正当なことです。ですから、あなたが行っている知識の研鑽は士業の鏡といえるほど素晴らしいものです。もし、あなたが開業資金に余裕があり、数年はのんびり仕事を取れば十分だということであれば、そのスタイルでかまいません。

しかしながら、もしすぐにでも顧問を取りたい、どんな小さな業務も獲得して生活費の足しにしたいと考えていたら、勉強は程ほどに切り上げて、営業の時間をつくるべきです。

「知識が完璧でないのに、営業なんてできるのでしょうか?」開業当初の士業にこのようなことを伝えると、多くの場合このような反応が生まれます。その反応に私はもう一度質問を返します。「では、いつになったら完璧な知識が身につくのでしょうか?」という具合です。

そうです、完璧な知識など誰も身につけられないのです。完璧に近い知識ならありえるかもしれません。しかしながら、法律は毎年のように改正され、その都度覚えることは増えていきます。そのたびに営業の手を止めていては、いつまで経っても事務所の経営は潤わないのです。つまり、「答えられない相談はあって当然」なのです。

重要なのは「宿題を早く提出する」こと