これらの動物では来園者が多いほど、活動量や食事量が減り、孤独時間や繰り返し行動が増える傾向があったとのことです。
またこれまでの研究では、もともと森林などの閉鎖的な環境にいた被食者(天敵に狙われる動物)や、人と遭遇しにくい夜行性の被食者ほど、人に対して恐怖心を抱く可能性が高いことが示されています。
それから今回のメタ分析では、上記以外のほとんどの種で、来園者の影響はプラスにもマイナスにも作用しない中立なものであることが確認されました。
HAUの動物学者であるエレン・ウィリアムズ(Ellen Williams)氏は「動物たちが受ける影響は種によって様々であり、それを種ごとに明らかにすることは動物福祉を向上させる上でとても重要です」と述べています。
ゾウやオウムは非常に知能が高く、他の動物に比べて人間とのコミュニケーションにも優れた動物です。
そうした人への慣れもあって、私たちの来園を喜んでくれているのかもしれません。
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参考文献
Elephants particularly enjoy presence of zoo visitors, study shows
https://www.ntu.ac.uk/about-us/news/news-articles/2023/05/elephants-enjoy-presence-of-zoo-visitors,-study-shows
元論文
The Impact of Visitors on Non-Primate Species in Zoos: A Quantitative Review
https://www.mdpi.com/2076-2615/13/7/1178
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。