被害者の保護や職場の安全配慮義務についての質問への大阪高検の回答は、

「被害者の意思を確認するなどし、被害者の心身への影響にも配慮して、できる限りの対策を講じてきた。その際、職場環境の調整にあたっては、職場内で被害者が誰であるかが特定されないようにも注意を払った」

というもので、奇しくも「二次加害」について厳しく批判されたフジテレビ経営陣が繰り返してきた「被害者の心身への影響への配慮」「被害者が特定されないように配慮」という言葉と酷似している。

このような検察の対応の背景に、刑事司法の中核を担い、外部からの介入を一切許さない検察特有の、検察を中心に世の中が動いているような天動説的感覚、「全能感」があるように思える(拙著【法が招いた政治不信 裏金・検察不祥事・SNS選挙の核心】KADOKAWA)。

今、検察は、大阪地検特捜部によるプレサンスコーポレーション事件で取調べ検察官が大阪高裁で特別公務員暴行陵虐での付審判決定によって起訴されており、また、袴田事件での「控訴断念」の畝本直美検事総長談話で「控訴すべき事案」と述べたことが、袴田弁護団側から名誉毀損との厳しい批判を受けるなど、多くの不祥事に直面している。

マスコミの中でも検察と関係の深い司法クラブやその出身者にとって、検察組織の現状を把握し、構造的な問題を明らかにして改善是正を求めることは、最も重要な使命であるはずだ。大阪地検元検事正による性加害問題で、フジテレビ問題以上に深刻な「二次加害」が指摘されている検察に対して、説明責任を問い、フジテレビ問題と同様に第三者委員会の設置を求めていくべきであろう。