彼らに共通するのは、「ソロプレイヤー」であるという点だ。かつては複数人のチームでSNSマーケティングやビジネス展開をしていた人もいたが、AIを使いこなす人たちはたった一人でビジネスを完結させてしまっている。

筆者自身は、彼らのように何か偉業を成し遂げたわけではない。だが、これまで外注していたプログラミングやクリエイティブ制作の一部を、AIを使って自分でこなすようになった。

この体験を通じて、「以前まで請け負っていた人の仕事が、知らない間に消えているのでは」と思ったのだ。小さな単位ではあるが、確実に「AI失業」はもう始まっている。

実際、アメリカでは2023年以降、AI導入によるレイオフ(人員削減)の事例が相次いで報告されている。たとえばニュースサイトのCNETは、記事の一部執筆をAIに切り替えた後、編集部の人員を削減した。また、IBMは「AIで代替可能な業務は採用を停止する」と発表し、今後数千人規模で人手が削減される可能性があると明言している。

ホワイトカラー業務や管理部門、マーケティング、カスタマーサポートなど、“クリエイティブ”と呼ばれてきた領域でもAI代替が現実に起きているのだ。

こうした変化は、今後ますます多くの分野で起きてくるだろう。

無料と有料で開く「AI格差」

現時点で、ChatGPTをはじめとする生成AIは無料でもかなりのことができる。だが、これは永遠に続く話ではない。

今後、AI各社がシェア争いを終えたタイミングで、本格的な収益化フェーズに入るのは時間の問題だ。IT業界では「まずシェアを取る」「その後、課金に移行する」という流れはごく一般的である。

すでに、無料版と有料版の間には性能面でもできることの幅でも、はっきりとした差が出始めている。GPT-3.5とGPT-4の違いを使い比べれば、それは一目瞭然だ。さらに、ChatGPTのo4-mini-highやClaude 3 Opusなど、上位モデルは明確に「使える人に恩恵を与える設計」になっている。