ヘビ革やワニ革など動物を使った革製品がありますが、現在では、動物福祉や環境への配慮から非常に問題視されています。
そうした背景の中で、まさに時代の最先端を行くプロジェクトが始動しました。
英国のマーケティング企業「VML」、バイオマテリアル企業「Lab-Grown Leather Ltd.」、ゲノム工学スタートアップ「The Organoid Company」は最近、「ティラノサウルス・レックスのDNAを使って人工的な革製品を開発する」という前代未聞のプロジェクトを発表したのです。
恐竜の革製品を作るのは世界初の試みであり、同時に、生きた動物を使わないという点で環境にも優しいプロジェクトとして期待されています。
しかし、どうやってTレックスの革を復活させるのでしょうか?
目次
- 恐竜の革製品を作るプロジェクトが始動!
- ティラノサウルスの革はどう再現するのか?
恐竜の革製品を作るプロジェクトが始動!
今回のプロジェクトの目的は、従来の動物由来のレザーに代わる、持続可能かつ倫理的な高級革製品の開発です。
一般的なレザー生産では、牛や羊などの動物が屠殺(とさつ)されるだけでなく、大量の水資源が消費され、なめし処理に使用される「六価クロム」などの有害化学物質によって環境汚染が引き起こされます。
これに対し、共同研究チームはこうした環境負荷を大幅に低減しながら、動物虐待に関する懸念も払拭する新たな道を示しています。
Lab-Grown Leather社は現在、細胞培養によってレザーを生み出す「足場不要型(scaffold-free)」の技術を持っています。
バイオプリンティング技術における「足場」とは、細胞が三次元的な構造を形成・維持するための「支え」や「骨組み」となる人工構造物のこと。
しかし足場の使用は、余分な資源の消費や製造工程の複雑化、それに伴うコストの増大といった問題点があります。
一方で、足場不要型は細胞自身が自ら3次元的な構造を形成し、本物の革と同等の質感と強度を再現するという画期的な方法です。