太陽が一時的に月の影に隠される「日食」。
この神秘的な現象に、人は昔から驚きと不安を感じてきました。
でも実は、木々も同じように反応していたかもしれないという研究が発表されたのです。
2025年1月、イタリア技術研究所(IIT)の研究チームが、トウヒの木が日食の前から電気信号を変化させていたという結果を報告しました。
しかも、木々はまるで“おしゃべり”をするかのように、古木から若木へと情報を共有していたのです。
研究の詳細は、2025年4月30日付の学術誌『Royal Society Open Science』に掲載されました。
目次
- 特殊イベント「日食」における生物の変化
- 日食の時、トウヒの木はコミュニケーションを取っているかもしれない
特殊イベント「日食」における生物の変化
私たち人間、動物、そして植物など地球上の生物は、太陽光からもたらされる規則的なパターンの中で生活しています。
毎日繰り返される昼夜、季節ごとの気候の変化などです。
そして私たちの体内時計は、その太陽光によって整えられています。
では、それらのルーティンから外れた時、生物はどのように対応するのでしょうか。

そういう意味で、日食は、太陽の光が一時的に弱まるという大きな自然の変化であり、注目すべきイベントです。
しかもそのタイミングは天文学的に正確に予測できるため、あらかじめ準備して生物の反応を見るにはとても都合がいいものです。
つまり、日食は「自然がくれる特別な実験のチャンス」だと言えます。
これまでの研究によって、日食時に一部の動物たちは行動が変化することが示唆されています。
たとえば、砂漠地域のセミたちは日食時に急に鳴き止む様子が観察されました。
同じように、動物や昆虫が日食で一時的に眠ったり、行動を止めたりするという報告が上がっています。
では、植物はどうでしょうか?
