本題に入る。次期教皇像を追ってみた。カトリック教会では保守派と改革派が主導権争いを展開させている。例えば、フランシスコ教皇が改革派だとすれば、次は保守派枢機卿(例えば、ハンガリーのぺテル・エルデ枢機卿)から、といった見方だ。保守派の学者教皇ベネディクト16世後に改革派で牧会派のフランシスコ教皇が選ばれたようにだ。ただし、選挙権を有する80歳未満の枢機卿の大多数が過去12年間、フランシスコ教皇によって任命されているという事情を考慮すると、次期教皇も改革派枢機卿からという説が合理的だ。
ただし、保守派と改革派の対立を回避するために調停役の枢機卿にもチャンスが出てくる。国務長官を務めるバチカン・ナンバー2のパロリン枢機卿(イタリア人、70)はその代表的な枢機卿だ。フランシスコ教皇の遺産を相続するという意味で、同じイタリア人のマッテオ・ズッピ枢機卿の名前も挙がっている。
次に枢機卿の出身地域を見てみよう。135人の枢機卿の内訳は、欧州出身が53人で依然、最大勢力を誇る。それに次いでアジア教会の23人、アフリカ教会18人、南米教会17人、北米教会16人、そして中米とオセアニア教会が各4人の順序となる。
枢機卿の勢力図からみれば、次期教皇は欧州教会出身の枢機卿が有利のように見られるが、その可能性は多くはない。その理由は、①ベネディクト16世がドイツ教会出身だったばかりで、カトリック教会内では次期教皇は欧州教会以外からという声が強い、②欧州教会ではここ数年、聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発し、教会への信頼性が大きく揺れている。その結果、信者の教会離れが加速している、等が挙げられる。
そこで、信者数が増えているアジアとアフリカ教会から次期教皇が誕生しても可笑しくないと言える。例えば、フィリピンのマニラ大司教区のルイス・アントニオ・ゴキム・タグレ枢機卿(67)だ。また、アフリカからはコンゴのキンシャサ教区のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿(65)の名前が出ている。