メードインジャパンの危機は製品だけに留まらないかもしれません。不思議な不思議な令和コメ騒動。先日、輸入米が増えるだろうし、海外のコメの質もそれほど悪くないです、と申し上げました。カリフォルニアから本格的に日本向けの輸出量が増えているようでスーパーにも並び始めていると聞いています。また韓国米がごく少量輸入されました。1999年以降初めてとのことで第2弾として20トンが届いた頃だと思います。タイ米も来ているし、中国産米も政府間交渉を経て、いずれ来てもおかしくありません。
すると何が起きるかといえば輸入米と国産米との価格差と品質差の市場競争です。そして日本米の方がどうしてもコストが高いので高級米として売らねばならず、市場規模が小さくなるとみています。もちろん、政府が輸入量を調整するでしょうが、一度商品として一定の市場評価を得ると元に戻すのは割と難しいのです。
メードインジャパンが消える日、もちろん大げさに書いています。ただ、私が昔から見てきたアメリカと今の日本が重なるのです。トランプ氏はアメリカに製造業を復活させる、と言っていますが、勤勉さを忘れたアメリカ人に緻密で同じ作業の繰り返しとなる製造業は出来ないのです。できるのはアジアやヒスパニックの移民層なのです。では日本はどうか、といえばほぼ単一民族である故に民族的代替ができない点で状況はもっと悪いのです。
例えば日本で大問題になりつつある介護問題。今後10-20年は日本は介護大国として君臨しますが、お年寄りを誰が面倒見るのか、人材が払底しつつあり、ようやく見つかっても「やっぱり無理!」と離職者が続出しているのが現状です。大手による老人施設のチェーン化も進む中、零細の介護事業者はそれこそ、製造業の東大阪や東京の蒲田のような状況になりかねないのです。
日本の問題は労働力という観点において少子化による物理的人材の減少に留まりません。私が見るもっと大きな問題は若者が職を選べるほど雇用がひっ迫しているため、エントリーレベルの業種に誰も見向きもしなくなることです。今年の初任給もやれ30万円だ、うちは40万円だ、と大盤振る舞いする中で地味な製造業やサービス業を誰が支えるのか、ここが説明できないのです。