文科省などは「原子力規制人材育成」や「原子力廃炉人材育成」などの名目で予算をつけているが、これらはいわば後ろ向きかつ一過性のものなので、じっくりと腰を落ち着けた研究者や技術者の育成とは乖離しているのが実情である。
とても原子力の最大活用に対応できない
政府は第7次エネルギー基本計画で原子力の最大活用を謳っている。
しかし、大学の原子力工学科や原子力工学専攻は先細るばかりで、将来的な見通しは非常に暗い。これでは、最大活用が仮に緒についたとしても、それを支える人材が育たないばかりか、いま原子力を目指している大学生や大学院生に対して、原子炉の動きを実質的に体得する機会は激減している。
日本のメーカーでいえば、例えば三菱重工はモジュール式超安全炉マイクロ炉の設計を持っている。必要とあらばいつでも建造に着手できる模様である。

三菱のマイクロ原子炉の構成案©️三菱重工
原子力の最大活用に実質感を持たせるためには、共同利用のような小型原子炉の新設や絶滅状態にある原子力工学科(学部)を復活させる必要があると思う。
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※1)藤家洋一「原子力ー総合科学技術への道」(1995、日本電気協会新聞部)
【言論アリーナ】原子力に未来はあるのか〜新技術から考える〜 藤家洋一 × 澤田哲生 × 池田信夫