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明るいニュースは米国から:大学に新設されるマイクロリアクター

最近届いた明るいニュースでは、米国の大学構内に研究用のマイクロ原子炉が新設されるという。

今年4月2日に、米国のナノ・ニュークリア・エナジー(NANO Nuclear Energy)社が、米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に、研究用マイクロモジュール炉「KRONOS MMR」の初号機を建設すルために契約を締結したと発表した。

©️ Nano Nuclear Energy, inc.

この原子炉は先進的なタイプのものとされ、いわゆる「第4世代原子炉」の実験タイプとされている。現在この地球上で稼働しているもっとも先進的な原子炉は3世代+とされている。

第4世代原子炉は、経済性、環境親和性、安全性、燃料の有効利用(核燃料サイクル)、核拡散(核燃料の軍事転用)への抵抗性という5つの要求項目を同時に達成しなければならないとされている。

このコンセプトはそもそも日本初で、先ごろ逝去した元原子力委員長・藤家洋一氏(東工大名誉教授)とそのグループが切り開いた「自ら整合性のある原子力(Self-Consistent Nuclear Energy System:SCNES)にある。第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(Generation IV International Forum:GIF)などの場を通じて、SCNESのコンセプトが世界に広められたのである※1)。

さて、KRONOS MMR™は、ヘリウムガス冷却で熱出力が45MWtとされている。これは大型炉とされるもののだいたい100分の1程度である。電気供給以外に水素製造なども視野に入れている。また必要な敷地面積は5エーカー未満(ちなみに東京ドームは約11エーカー)とかなりコンパクトになっている。

低濃縮ウラン(LEU)または高分析低濃縮ウラン(HALEU)を利用でき、国際規制やエネルギー依存度の高いセクターの多様なニーズに対応できるよう設計されているという。その将来的な用途としては、データセンターやAIへの適用がある。

第4世代原子力システムの位置付け©️ Generation-IV International Forum