さらに興味深いのは、この関係は体重や頭の良さ(ワーキングメモリ)とは無関係だったこと。
つまり、「太っているから記憶力が落ちた」のではなく、ジャンクフードをよく食べているだけで空間記憶が落ちているというのです。
研究チームはこれを、「脳の中の“海馬”が食べ物の影響を受けている証拠だ」と考えています。
海馬は、新しい場所を覚えたり、方向を判断したりするのに必要な部分です。
ここがダメージを受けると、たとえスマホがなくても帰れるような「脳の地図機能」がうまく働かなくなるのです。

この研究は、以前からネズミで示されていた「ジャンクフードが記憶を悪くする」という話を、人間でも実証した初めての本格的な例です。
しかも、ゲーム感覚でリアルな空間認識をテストできるVRという最新技術を使ったことで、より現実に近い形で脳の働きが観察されました。
もちろん、この研究は因果関係を示すものではありません。
しかし、過去の動物実験や脳科学の知見と合わせると、ジャンクフードをよく食べる傾向が脳に悪影響を与える可能性は非常に高いと言えるでしょう。
では、私たちは日常生活にこの結果をどのように当てはめることができるでしょうか。
「絶対にジャンクフードを食べるな!」という話ではありません。
バランスのとれた食生活を心がけることが、脳の健康にとっても良いということです。
普段の生活で、ちょっとした工夫――野菜や果物を意識して取る、甘い飲み物をお茶に替える、というだけでも十分意味があります。
毎日を健やかに、そして道に迷わずスムーズに過ごすために、今日の食事をちょっとだけ見直してみるのはどうでしょうか。
脳は、あなたが食べたものでできているのですから。
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参考文献
Junk food makes you dumber in a very specific way
https://newatlas.com/diet-nutrition/junk-food-cognition/