というのも現在の研究は、相対論的効果や量子重力をまだ取り入れていないからです。

今後の研究では、この考えを確固たるものにする(あるいは反証する)ために、いくつかのステップに取り組む必要があります。

必要とされる具体的なステップ

モデルを新たな領域に拡張する:情報アプローチが依然として有効かどうかを検証するために、相対論的条件(高速で移動する物体、非常に強い重力)と量子スケールの下で理論を構築する必要があります。

検証可能な予測を行う:重力が本当に情報圧縮によって生じるのであれば、観測可能な微妙な違いや現象はあるでしょうか?実験的または天文学的な検証の可能性を提案する必要があります。

既存の物理学との整合性:この概念は、従来の物理学における謎と合致するか、あるいはそれらの謎を説明できるものでなければなりません。宇宙がなぜこれほど高い対称性を持つのか(これは情報効率の高い状態である可能性があります)、あるいは情報の観点から重力が他の基本的な力とどのように相互作用するのかについて、新たな知見が得られるかもしれません。

文字通りのシミュレーションの中にいるかどうかに関わらず、宇宙を計算論的な観点から考えることは、非常に優れた洞察を提供してくれます。

少なくとも、ヴォプソンの研究は、情報を実体、つまり現実を形作るものとして扱うという物理学の新たな潮流に加わるものです。

もしかしたら重力の真の正体は時空構造に埋め込まれ、宇宙のデータを休むことなく圧縮し続けるアルゴリズムなのかもしれません。

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元論文

Is gravity evidence of a computational universe?
https://doi.org/10.1063/5.0264945

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。