驚いたのはアメリカ国内に滞留する不法移民の強制送還の数はバイデン政権時742人/一日に対してトランプ政権時は661人と成果が悪いのです。国境で不法移民の流入を徹底して潰しているのが激減の理由なのかもしれませんが、今一つという気がします。
ところでカナダで4月28日に総選挙があり、中道左派の自由党が過半数には4議席足りないものの勝利をおさめ、カーニー氏が議員の座も手にし、いよいよ本腰を入れた政権運営に入ります。カナダも今回の選挙に至るまで紆余曲折で国内は大いに揺れ動きました。トルドー氏の不評が頂点に達したのが氏と共に歩んだフリーランド氏とのいざこざで副首相を辞任した時でした。この時点でトルドー氏への世論の支持が急速に衰え、辞任表明に至ります。自由党は野党保守党に世論調査で20%ポイントもの差をつけられ、どう見ても政権交代という情勢でした。
ところが自由党党首選で大本命のフリーランド氏はすい星のごとく現れたカーニー氏にお株を奪われたのです。フリーランド氏の惨敗の理由は政策的にトルドー氏に近いことで自由党で支持が広がらなかったのです。カーニー氏はカナダと英国の中央銀行総裁を歴任、退官後、ブルックフィールドという世界最大級の不動産投資会社のCEOを務めます。私はカーニー氏が出馬検討の報が出た時から同氏が勝つだろうし、同氏しかトランプ氏と対峙できないだろうと申し上げました。
理由は中銀総裁時の氏の手腕を見てきたからで極めて実務能力の高い知的で緻密な性格故にトランプ氏に対して理論武装と相反する性格でトランプ氏にとって苦手意識を植え付けるだろうと想定したからです。
では今後、アメリカとカナダの関係はどうなるでしょうか?大胆予想をするとカナダは国力がアップし、国家の意識が変わるだろうとみています。例えばカーニー首相はカナダを世界で圧倒するエネルギー大国にのし上げると表明しています。またTPPや欧州とのFTAを含む世界各国との連携を利用し、アメリカの依存度を下げながら経済の拡大を図る政策に出るとみています。

カナダ マーク・カーニー首相インスタグラムより