学校で突如鳴り響く銃声が人々の日常を一瞬で奪います。
繰り返される「学校銃乱射事件」という悲劇はどうして生じるのでしょうか。
ドイツ・エアフルト大学(University of Erfurt)のアン・ナサウアー氏は、米国で起きた83件の学校銃乱射事件を分析。
犯人の多くが、銃を「愛情や絆、帰属意識の象徴」とする環境で育ってきたことを発見しました。
研究の詳細は、2025年4月23日付の『PLOS ONE』誌で発表されました。
目次
- 学校銃乱射事件の犯人に共通する背景とは?
- 学校銃乱射事件の犯人は、銃を「愛や絆の象徴」とする環境で育っていた
学校銃乱射事件の犯人に共通する背景とは?

2012年12月14日、米国コネチカット州ニュータウンのサンディフック小学校で最悪の乱射事件が起きました。
午前9時30分ごろに20歳の犯人が校舎に侵入。6歳から7歳の児童20人と教職員6人の命を銃で奪いました。
わずか数分間の出来事でしたが全米を悲嘆と衝撃に包みました。
いったいどうして、このような事件が後を絶たないのでしょうか。
学校銃乱射事件に関する議論では、しばしばアメリカ特有の銃文化が原因として挙げられます。

しかし、銃文化が犯人の人生にどんな影響を与えているのか、体系的に分析した研究はほとんどありません。
そこでエアフルト大学のナサウアー氏は、従来の「所有率」や「犯人の精神状態」だけに注目するのではなく、銃が人々にとってどんな価値をもち、日常でどのように使われていたかを調査しました。
彼女は、代表的な24件の事件を詳しく調べて家族や友人との銃の関わりを分析しました。
その上で1966年から2024年までのアメリカの学校銃乱射事件83件すべてを比較し、共通する文化的パターンを浮き彫りにしました。