そんな中、研究チームは、より手軽で効率的な方法を模索しました。

そうしてたどり着いたのが、スマホアプリによる自己学習型CBTプログラム「レジトレ!®」だったのです

長く継続する治療効果が得られた

今回開発された「レジトレ!®」アプリには、CBTを代表する5つのスキルが搭載されています。

それがこちらです。

行動活性化:抑うつ気分のときに避けがちな活動をあえて行うことで、気分や行動を改善する技法。

日常の楽しみや達成感のある活動を増やすことを通じて、意欲の回復を促す

認知再構成:自動的に浮かぶ否定的な考え方に気づき、より柔軟で現実的な考え方に置き換える技法。

思考のクセを見直すことで感情的苦痛を緩和する。

問題解決:抱えている困難や課題に対して、問題の明確化・目標設定・解決策の洗い出し・実行計画などのステップを踏んで取り組む技法。

実行可能な行動を通じて現実的対処力を高める。

アサーション:相手を尊重しながら、自分の気持ちや意見を適切に表現する対人スキル。

自己主張が苦手な人にとっては、対人関係のストレスを軽減する手段となる。

睡眠行動療法:不眠を改善するために、就寝・起床時間の安定化、刺激制御、睡眠制限法などを含む科学的根拠に基づいた行動技法。

研究チームは、日本全国から3936人の成人を対象に、これらスキルを6週間にわたってアプリで学習してもらい、その効果を検証しました。

参加者はランダムに振り分けられ、個別スキルやスキルの組み合わせを体験しました。

また効果を正確に測るため、単なる健康情報提供や自己チェックだけを行うコントロール群とも比較しました。

その結果、すべてのスキルが、うつ気分の指標であるPHQ-9スコアを有意に改善する効果を示したのです。

特に行動活性化、睡眠行動療法、行動活性化+認知再構成、行動活性化+問題解決、行動活性化+アサーションが大きな効果を示しました。

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Credit: canva