これは、持続可能な社会づくりへの大きな障害です。

たとえば、買ったはいいけど冷蔵庫の奥に放置されて、しおしおになったほうれん草や、気づけば水分が抜けてカピカピになったミニトマト──そんな”食品ロスあるある”、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?

そこでアデレード大学の研究チームは、オーストラリア・アデレード市の1030人を対象にオンライン調査を実施しました。

質問内容はシンプルですが本質的なものでした。

たとえば、「あなたは食べ物を選ぶとき、どれだけ栄養を重視していますか?」「環境への配慮をどれだけ重視していますか?」「そして、どれくらい食べ物を捨てていますか?」といった質問が投げかけられました。

さらに、買い物や料理における”計画性”や”つい買いすぎる傾向”についても調査し、これらと食品廃棄量の関係を統計的に分析しました。

その結果、予想外の結果が導き出されました。

「持続可能性を重視する人」よりも「栄養を重視する人」の方が食品廃棄が少ない

分析の結果、栄養を重視する人ほど食品を無駄にしないことが明らかになりました。

具体的には、健康意識が高い人は買い物前に冷蔵庫の中身をチェックし、献立を立てて必要な分だけを買い、余った食材をリメイクして活用していました。

たとえば、余った野菜でスープや炒め物を作るといった工夫です。

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持続可能性志向の人は、そこまで食品ロスを減らせていなかった / Credit:Canva

一方、持続可能性を重視する人たちは、必ずしも食品廃棄を減らしていないことが判明しました。

環境を意識してオーガニック食品を購入しても、買っただけで満足してしまい、料理の計画を立てずに腐らせる傾向が見られたのです。

たとえば、せっかく買った無農薬のセロリを数日でしなしなにしてしまうといったケースです。

つまり今回の研究では、良いものを買うだけでは「無駄にしない」ことにはつながらない、という厳しい現実が浮かび上がったのです。