日本を代表するお笑いコンテストといえば、年末に開催される「M-1グランプリ」ですよね。
M-1グランプリではよく「トップバッターは不利」と言われます。
2024年度は、令和ロマンが1番手にして二連覇を達成する快挙を成し遂げましたが、それ以外は基本的にトップバッターで優勝するのは極めて困難とされています。
そんな中、大阪公立大学大学の研究チームは、お笑いコンテストの出順が審査に与える影響を科学的に検証することにしました。
対象としたのは「爆笑オンエアバトル」の15年分のデータです。
その結果、ある条件のもとだと、むしろトップバッターが最も有利になることが明らかになりました。
研究の詳細は2025年4月22日付で科学雑誌『Journal of Economic Behavior & Organization』に掲載されています。
目次
- トップバッターは本当に不利なのか?
- ある条件では1番手が有利に
トップバッターは本当に不利なのか?
多くの人は「コンテストでは後の順番のほうが有利になる」と聞いたことがあるのではないでしょうか。
これは審査員が1番手の演技を基準にして評価を進めるため、後半に行くにつれて評価が伸びやすくなる「カリブレーション効果」が発生するためです。
カリブレーション効果とは、「評価の幅が限られており、後に現れる選択肢の質が不確かな場合、評価者が将来の判断の余地を残すために極端な評価を避け、無難な中間評価を選びやすくなる傾向のこと」を指します。
要するに、早い段階で極端な高得点をつけてしまうと、後に適切な評価ができなくなることを懸念して、評価者はトップバッターほど平均的な得点をつけやすくなるのです。
実際、過去の研究でも、たとえばスポーツ大会や演劇コンテストでは、順番が後ろになるほど評価が高まる傾向が指摘されてきました。
