トランプ大統領はそれを知っているのだろうか。イバンカさんは第一期トランプ政権とは違って第二期目のトランプ政権には入っていないが、さまざまな国家的な情報がイバンカさんの家庭にも自然に流れてくるだろう。そのファミリーの中に中国人の若い女性がベビーシッターとして働いていたというのだ。大げさな表現だが、国家機密が中国側に流れる懸念はないのか、という心配事だ。中国語を話す中国人女性といってもそのプロフィールを知らないし、今も働いているのかは分からないから、多くの事は言えないが、奇妙な組み合わせだ、ということを感じたのだ。
トランプ大統領の政治スタイルはビジネス・スタイルだ。お得意のディールで交渉をまとめる。ウクライナのゼレンスキー大統領との間のウクライナのレアーアース資源に関する取引は、交渉が破綻して延期されたばかりだ。
トランプ大統領のディールを見ていると、トランプ大統領にとってウクライナの安全保障より、資源の獲得がより重要なのだろう。それは批判されることではない。外交もギブ・アンド・テイクだからだ。一方が与え、他方が受けるだけの関係は長続きしない。トランプ大統領のディール・スタイルは典型的な米国流実用主義に基づいているといえる。
ということは、中国共産党政権とのディールでも同じことが考えられるかもしれない。トランプ大統領にとっては中国とどのような取引が可能かにかかっている。共産主義イデオロギーを拒否するから中国へ制裁するのではなく、あくまで取引で有利な商談を得るために政策をチラつかせるのだ。
中国共産党政権下の多くの共産党幹部や政府高官、富豪はゴールデンパスポートを入手するために腐心し、自分の子供たちを米国のエリート大学に留学させている。米国の悪口を散々いう一方で、中国共産党幹部たちは秘かに自分の子供たちを米国に留学させるために特権を駆使している。共産党イデオロギーは二の次なのだ。多分、トランプ大統領にとっても同じだろう。中国の覇権主義を抑え、米国が世界の最強国の地位を維持するという大義があるが、実利を得るほうがより大切なのかもしれない。自身の孫が中国語をパーフェクトに話すことができれば、将来のディールにプラスになるという計算が働くだろう。