睡眠習慣が中間のグループ(平均睡眠時間は7時間21分)は、参加者の24%を占め、睡眠特性全般において平均レベルでした。

睡眠習慣が良いグループ(平均睡眠時間は7時間25分)は、参加者の37%を占め、最も早く就寝しており、睡眠中の心拍数も低い傾向がありました。

睡眠習慣が悪いグループと良いグループの平均睡眠時間の違いはたったの15分です。

それでも、脳機能には明らかな違いができました。

「たった15分」の睡眠時間の差が、脳機能に違いをもたらしていた

睡眠習慣で分けた3つのグループでは、学業成績に有意な差は見られませんでした。

しかし、読解力、問題解決能力、集中力などの認知テストでは、睡眠習慣が良いグループほど、成績が良いという結果になりました。

そして、睡眠習慣が良いグループは脳の容積が最も大きく、脳機能も最も優れていました。

対照的に、睡眠習慣が最も悪いグループは脳の容量が最も小さく、脳機能が最も劣っていました。

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15分だけ睡眠時間が長い若者たちは、脳機能が優れている / Credit:Canva

これらの結果は、日々の睡眠時間がわずか15分増えるだけでも、若者の脳の発達に明らかな改善をもたらすことを示しています。

研究チームも次のように述べています。

「各グループの睡眠時間の差は比較的小さく、最良と最悪のグループの睡眠時間の差は15分しかありませんでしたが、それでも脳の構造と活動、課題の遂行能力に違いが見られました。

人生の重要なこの時期に、ぐっすり眠ることがいかに大切かを痛感させられます」

もちろん限界もあり、この研究だけでは睡眠と脳機能の因果関係を十分に示すことはできません。

それでも、これまでに行われてきた同様の研究と合わせて考えると、「若い脳にとって一分一秒の睡眠が重要である」と考えるのは間違っていないかもしれません。

そして仮に若くないとしても、「睡眠時間を安易に削ってしまう習慣」は、私たちの脳機能を低下させている可能性があります。