ローマ・カトリック教会は現在、教皇を中心とした中央集権体制を維持していくか、現場の司教会議や指導者たちが教会運営にタッチしていく非中央集権化かの選択を強いられてきている。
問題は出てくる。グロバリゼーションの時代、ソーシャルネットワークが発展してきている現代社会、聖職者もそれらの影響を受ける。世論調査が行われ、フェイクニュースが溢れている情報社会で生きている聖職者もやはり人間だ。意見は多様化し、牧会一つ上げても多様なやり方が考えられる。国、地域でその文化、慣習は異なる。そのよう時代環境圏で果たして各国の司教会議が統一された教会を維持できるだろうか。ボトムアップで統一した教会体制がキープできるだろうか。
次期教皇がシノドスの過程を止めることはできるが、フランシスコ教皇は在位12年の間に、次期教皇を選出する選挙権を有する80歳未満の枢機卿の3分の2以上を任命していることから、次期教皇も前任者の路線を継続していくと考えて間違いないだろう。
問題の核心は、教会体制でトップダウン方式かボトムアップ体制かの選択ではない。独裁的な教皇が誕生するか、ポピュリストの教皇が選出されるかの問題でもない。神を信じ、人類の救済を訴える教会に神の聖霊の働きがあるか否かではないか。ペテロの後継者が主導するカトリック教会は大きな分岐点に対峙している。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年4月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。