このヘビは幸いにも自らを傷つけることなく尾を放していますが、「実際はかなり危険な行為だ」と専門家は話します。

例えば、自分の尾を飲み込むと、自らが分泌した酸性の胃液によりウロコ表面が溶けて損傷することがあります。
また尻尾が体内で詰まると窒息死を起こしかねません。
それから鋭い牙が尻尾に食い込んだ場合、出血だけでなく、有害な病原菌が侵入して感染症を引き起こす可能性も大です。
その一方で、毒ヘビが自分の毒牙にかかることはありません。
ヘビの体内には、自らの毒素に対する抗体が自然に含まれているため、自分で自分を噛んでも毒は無害なタンパク質に変化し、腎臓から体外に排出されます。
ただ毒は平気でも、先の窒息死や感染症によって命を落とす危険は十分にあり得るのです。
では、どうしてヘビは命の危険があるにも関わらず、尻尾を飲み込もようとするのでしょうか?
ヘビが自分の尻尾を飲み込んでしまう理由とは?
ヘビが自らの尻尾を飲み込む決定的な理由はまだ得られていませんが、研究者らはいくつかの要因を挙げています。
まずは「温度調節の異常」です。
他の爬虫類と同じく変温動物であるヘビは、自らの体温を制御する能力を持ちません。
体温は外部の気温に依存して決まるため、暑い日は日陰に隠れ、寒い日は日光浴をする必要があります。
しかし体温が上がりすぎると、ヘビの方向感覚や温度感知の能力が故障し、混乱して自分の尻尾と獲物が見分けられなくなって、とっさに噛みついてしまうのです。
飼育環境下でウロボロスの現象がよく見られるのは、身を隠す日陰がなかったり、バスキングライトがつけっぱなしになることが原因だといいます。
