作者が語る真実と、新たな謎

 この絵画は匿名ではなく、1972年にポストモダン・シュルレアリスムの画家ビル・ストーンハムによって描かれたものだった。彼はこの作品をビバリーヒルズのファインガルテン・ギャラリーに売却。そこでロサンゼルス・タイムズ紙の美術評論家ヘンリー・セルディスの目に留まり、記事として紹介された。

eBayに出品された「呪いの絵画」 – アートと都市伝説、恐怖のマーケティングが生んだ謎
(画像=ビル・ストーンハム氏 画像は「Espacio Misterio」より,『TOCANA』より 引用)

 この記事がきっかけとなり、映画『ゴッドファーザー』で有名な俳優ジョン・マーレイがこの絵画を購入した。その後、絵画の行方は分からなくなっていたが、廃墟のビール工場で再発見された、という経緯だった。

 eBayの出品ページには、こんな一文も添えられていた。「この絵画に入札することにより、購入者は、販売に関連するすべての責任、および販売後にこの絵画に起因する可能性のあるいかなる出来事からも、所有者を免責することに同意するものとします」。

 作者のストーンハム氏はインタビューに応じ、作品の意味について語った。この絵画は彼の幼少期を描いたものであり、少年は彼自身の自画像、人形は一種のスピリチュアルなガイド、そして窓の中の手は、彼が人生で選び得た様々な可能性の道を象徴しており、それらが暗い不確実性に取り囲まれている様子を表しているという。

 作品のタイトルは『The Hands Resist Him / 手が彼に抵抗する』。ギャラリーから月に2枚のペースで依頼されて描いた作品の一つであり、皮肉にも、これが唯一売れた作品だったという。