実際、米国では公共図書館を拠点に地域住民の読書を促進する取り組み(例:NEAの「ビッグリード」プログラム)や、有名人によるオンライン読書会などの試みも行われており、6百万人以上が何らかの読書イベントに参加したという報告もあります。
しかし、調査によれば日常的に図書館で読書する人はごく僅か(2023年時点で0.3%)に過ぎず、従来の図書館任せのアプローチだけでは限界があるかもしれません。
研究者らは、今後も継続的に人々の読書実態をモニタリングしつつ、有効な介入策を見出していくことが重要だと強調しています。
娯楽としての読書は、単なる趣味以上の価値を持つ行為です。
本を読むことで得られる豊かな体験や知識は、個人の人生を彩るだけでなく社会の活力となります。
それだけに、今回明らかになった読書離れの現状は深刻ですが、同時に読書の魅力を次世代に伝えていくことの大切さを改めて示す結果とも言えるでしょう。
デジタル時代に即した新しい読書スタイルの提案や、誰もが気軽に本と触れ合える環境づくりなど、未来に向けた創意工夫が求められています。
研究チームの呼びかけるように、まずは現状を直視し、そしてもう一度「読書の持つ力」を社会全体で見直すことが必要なのかもしれません。
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元論文
The decline in reading for pleasure in the US: analyses of 20 years of the American Time Use Survey
https://doi.org/10.31234/osf.io/pfmxz_v1
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。