職場でのミス、家庭でのすれ違い、悲惨なニュースやSNSの誹謗中傷に心をかき乱される日々。
私たちは日常の中でさまざまな感情ストレスにさらされています。
しかし今回、米カーネギーメロン大学(CMU)の最新研究で、ある性質が強い人ほど、感情ストレスからの回復力が高まることが示されました。
さらに、これらの人は相手の感情を正しく理解し、共感する力も高かったようです。
その「ある性質」とは一体?
研究の詳細は2025年2月4日付で心理学雑誌『Personality and Social Psychology Bulletin』に掲載されています。
目次
- 鍵は「自分は間違っているかもしれない」と考える性質
- なぜ知的謙遜は「共感力」や「回復力」を高めるのか?
鍵は「自分は間違っているかもしれない」と考える性質
研究チームが今回、注目したのは「知的謙遜(Intellectual Humility)」と呼ばれる性質です。
知的謙遜とは「自分の信念や意見が間違っている可能性がある」ことを自覚して、受け入れる姿勢のことを指します。
これは単なる謙虚さとは異なり、思考の柔軟性や他者の視点への開かれた態度とも結びつくと研究者はいいます。
本研究の動機は、知的謙遜―つまり「自分の信念は間違っているかもしれない」と認める能力―が社会的行動にどのような影響を与えるか、理解を深めることでした。
過去の研究ではすでに、知的謙遜が偏見を減らし、他者への寛容さを高めることが示唆されてきましたが、感情的に緊張したり、対立を孕んだ状況下での対人関係において、どのように影響するかはあまり知られていませんでした。
そこで研究チームは今回、長きにわたって歴史的・政治的に対立関係にあるユダヤ系イスラエル人とパレスチナ系イスラエル人を対象に、「知的謙遜」の影響について調査を行いました。

本調査には、計533人のユダヤ系イスラエル人の成人が参加しました。