TBSは「関係者取材に基づく正当な報道」と主張するだろう。
だが、「関係者」と称する人物たちが一方の立場に強く偏っていれば、その発言だけを垂れ流すことは「事実相当性」を担保するどころか、かえってバランスを失わせる。
TBSの過去の重大問題──オウム真理教事件との関係
TBSの偏向体質は、今に始まったものではない。典型例が1989年に起きた「坂本弁護士一家殺害事件」である。
当時、TBSはオウム真理教幹部に対し、坂本弁護士のインタビュー映像を無断で見せたとされる。その結果、オウム側は坂本弁護士を「危険人物」と認識し、結果的に一家殺害へと至った。
TBSはこれを「放送倫理違反」として大きな非難を浴びたが、事件に対する直接責任は曖昧なまま、今日に至っている。
この一件から分かるのは、TBSは「報道機関としての公共的責任」を軽視しがちな体質を持つ、ということだ。
メディア権力の本質──「反省の反動」としてのマスメディア支配
なぜ日本のマスメディアはこのような体質に陥ったのか。その源流は、第二次世界大戦における「大本営発表」の反省にある。
戦時中、新聞社は軍部の発表を無批判に報じ、国民を欺いた。戦後、その反省から「権力に対して批判的であれ」という倫理観がマスコミ界に浸透した。しかし、結果として「権力批判=正義」という倒錯が生まれ、さらには「世論形成」という新たな権力欲へと変質してしまった。