一つのまとまりとして生き、分裂するときも全体で数を倍増させ、その後ふたつの同じ集団に分かれるのです。

さらに今回の研究では、コンソーシアムを形成するMMBの細胞がすべてクローン(同じ遺伝子を持つコピー)ではないことも明らかになりました。
細胞同士で微妙に遺伝子が異なっていたのです。
また、各細胞は代謝活動にも違いがあり、それぞれ異なる役割を担っていました。
ある細胞はエネルギー源を多く取り込み、ある細胞はタンパク質合成を活発に行う、そんな分業が起きていたのです。
これはまるで、骨細胞や神経細胞がそれぞれの役割を担っている私たち多細胞生物の体に似ています。
しかもMMBは、有機物(酢酸やプロピオン酸など)も無機物(炭酸水素)も使いこなしながら生きる混合栄養型の生き物であり、多様な環境変化に対応できる柔軟さも持っていました。
これらの特徴から、MMBは「単細胞と多細胞の中間」に位置する非常に貴重な存在だと考えられます。
つまり「単細胞から多細胞へ進化する、その”過渡期の瞬間”を私たちは目撃しているのかもしれない」と研究者も指摘するのです。
私たちの体を形作る多細胞生物への進化の謎。
そのヒントが、この肉眼では見えない小さなMMBの中に隠されているかもしれません。
MMBの研究は、生命の根源に迫る冒険の一歩として、これからますます注目されることでしょう。
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参考文献
Strange Bacteria That Can’t Live Alone Hint at Early Steps to Complex Life
https://www.sciencealert.com/strange-multicellular-bacteria-team-up-in-an-entirely-unexpected-way